2021年3月27日土曜日

出来た事、出来なくなった事、これから出来る事

最近SNSにsakanaの20~30代の頃に作った音源を連投していた。 実はどこかのレーベルが興味を持って再販してくれないだろうか?と云う気持ちが薄っすらあった。そして実際2~3のレーベルが連絡をくれてライセンスの条件等丁寧に説明してくれたのだけど、原盤を自分たちで管理していると思っていたようで、以前リリースした時のレーベルの元にあるので連絡してみてほしいと伝えた。でも結局スムーズに借りられなかったのだと思う。それっきり連絡はない。

自分たちの旧作品が拙いものなのは分かっているし、残すべき価値があると思っているわけではないけど、今聴けばそれはやっぱりその年齢の時にしか作り得なかったものだと思うし、作った後何度も繰り返し演奏して来た曲には愛着がある。自分は他の音楽家から一緒に演ろうと誘われる事は殆どなかったので自分の音楽歴はほぼsakanaだけ。結局自分で立ち上げたバンドで音楽する以外なかっただけなんだけど、それに唯一ずっと付き合ってくれたのはポコペンさん。そしてこの年齢になってそんなsakanaの音源の大半が廃盤状態で放ったらかしなのはとても残念に思う。若い頃は自分がこんな事感じるようになるとは全然思ってなかったけど。

今だって自分にとって最良の作品はこれから作る作品だと思っているし、(前にも書いたけど)そう思わなくなったら音楽も絵も止めてしまうと思う。でもその反面で以前やった事はもう出来ないんだなとも思う。 先日SNSでこんな投稿を見かけた。「もちろん例外はあるけど、アーティストの代表作は10代から30代くらいに作られたものがほとんど。経験や技術は上がるはずなのに、やはり若い時にしか出ない「気」のようなものにはかなわないのだろうか」

たぶんこれは確かな事で名画を例に挙げるとその多くが30代半ば頃の作品だったりする。そして経験、技術、知識、気力のバランスが取れた最も充実した時期と説明される。自分たちの過去作品を引き合いに出すのはおこがましいけれど、でも今の自分達にとってそれは戻る事の出来ない状態の産物なのは確かで、大袈裟に聞こえると思うけど子供を持たなかった自分には子供みたいなものだと思う。無論出来の悪い子供だけど。こんな事云うと子供を持っている人に「お気楽な事をぬかしてやがる」と怒られそうだけど、子育ての大変さと同じだと思っているわけではありません。

まあそんな訳で過去の作品を可能な分だけでも興味を持ってくれた人に届く状態にしておきたいと思う。40歳過ぎて作ったアルバムだけど、2003年作の「Sunny Spot Lane」と2006年作の「Sunday Clothes」をBandcampでリリースしました。どちらも若い頃に作ったアルバムよりプライベートでラフな作品だけどよかったら聴いてみてください。

https://sakanarecords.bandcamp.com/album/sunny-spot-lane-2

https://sakanarecords.bandcamp.com/album/sunday-clothes

旧い音源を久しぶりに聴くと、当たり前だけどその頃の出来事をいろいろ思い出す。そのうちバイオグラフィ番外編でも書いてみよう。