2019年4月30日火曜日

区切られた風景


間もなく平成が終わる。とくに気に留めていなかったけど、今頃になって妙な感慨がある。元号に意味があるとは思わないけれど、区切られる事で一定の期間を意識するのは正月に似ている。正月も意味があるとは思わないけど自分のようにだらしなくなりがちな人間には区切りがあると気持ちを入れるのに少し役立っている(気がする)。

区切りからしばらく経って区切られた時間を離れて見られるようになると、僕らが生まれ育った時代を「昭和っぽい」と呼ぶように、平成が枠に入れられて、彩りと湿度を伴った「時代」として意識されるようになるんだろう。「平成っぽい」とはどんな風景だろうと想像するのは楽しい。この楽しさは政治、経済、風俗、流行などを基準にして考えるのではなくて、もっと個人的なボンヤリしたものだけれども。

sakanaの結成は1983年、ポコペンさんと出会って1stアルバムを録音したのは1987年だからまだ昭和だったけど、2ndアルバム「マッチを擦る」を録音したのが1989年(平成元年)でその頃から月に3~4回のライブをコンスタントに行うようになり次々に曲を作るようにもなって、ようやく活動が軌道に乗り始めた。だから一定のペースで活動を続けた期間はほぼ平成全体と云える。楽しい事もムカつく事も、充実した事も虚しかった事も、嬉しい事も悲しい事もあった。当たり前。

後ろなんて振り返らないぜっていう人は前だけ見てたくさん忘れものをすればいい。僕は若い頃から度々過去を振り返る。そして途方に暮れたり気を取り直したりする。平成がどんな時代だったのかなんてまだ見当がつかないけど、折に触れて度々想い返すのは間違いない。


2019年4月1日月曜日

イラスト展 4/1(月)~4/14(日)

sakanaのバイオグラフィを書こうかなと思いつつなかなか書き始められないでいるけど、イラスト展のお知らせをします。

4/1(月)〜4/7(日) 月光荘-画室2
4/1(月)〜4/14(日) 月のはなれ
でイラスト展をさせてもらいます。同じビルの1階が画室2、5階が月のはなれになります。画室2は展示用スペースなので大きい作品と小さな作品を取り混ぜて多数展示しています。月のはなれは飲食店なので展示数は少ないですが、とてもよい雰囲気のお店なのでくつろいで頂けると思います。
月のはなれ:104-0061東京都中央区銀座8-7-18 月光荘ビル5階 ☎︎03-6228-5189
http://tsuki-hanare.com






























ブログを更新しない間にSNSなどで度々目にした記事。内田裕也さんが亡くなった。僕はファンではなかったけど僕らの世代にはお騒がせな人として親しまれて?いたと思う。音楽は高校生の頃友だちの家でLPを何枚か聴いたけどあまりピンと来なかった。その後もおっかなそうなヘンな人としか思ってなかったけど、20代半ば頃に「10階のモスキート」と云う映画を観て俳優としてはとても味わいのある人なんだなと思った。謹んで哀悼の意を表します。その少し後、萩原健一さんの訃報。

ピエール瀧さんがコカインで捕まった事についてやたらとたくさん投稿を見た気がする。年齢、立場、責任、を問わなければ隠れてタバコを吸って見つかった高校生とそんなに違いは感じないけど、そう云うわけにもいかないんだろうな。無責任かも知れないけど僕は人を裁くような事は云いたくないし擁護する気持ちもない。やりたい人は勝手にやってればいいと思うけど。私感だけど、アッパーダウナー問わず麻薬類は元気、やる気、自信、上機嫌、リラックスした心地よさ、行き過ぎた鋭敏さ、等々の極端な「前借り」に過ぎないと思う。

作った人が逮捕されて作品が流通販売されなくなる事についても色んな言及を見かけた。そう云えば、sakanaの「locomotion」と云うアルバムはリリース後しばらくは流通していたけど12年前に流通は止まってずっと廃盤状態。その事について数年前、発売元のメモリーラブと云うレーベルから「思うところあってお前たちのアルバムはもう売ってやらない事にした」とメールで通告された。そのメールは今もパソコンの履歴に残っている。「思うところ」と云うのは、当時ドラムを担当していた鈴木君がsakanaを脱退した経緯が気の毒だったとか、ポコペンさんがsakanaのライブを撮影する約束を土壇場でキャンセルしたからとか云う内容だった。鈴木君が辞めたのは単純に鈴木君とは音楽的指向が合わなかったからでバンドメンバーの脱退にはよくある話。撮影のキャンセルは「気が進まなくなった」と云う、側から見れば気紛れな理由だったかも知れないけど。でもせっかく頑張って作った作品を「もう売ってやらない」などと云われる筋合いの話じゃない。逮捕されたわけじゃないし。でも僕らの云ってるのはせいぜい数万円規模の話。損害ナン億円とかの話じゃないから問題にはならない。詰まらない作品で詰まらない世の中。

なんて事を考えていたけれど作品を作る楽しさは今もちゃんと有るからよかった。今まで作ったものが全部詰まらなかったとしても、これから作る作品が面白いなら別にいいな。

追記:この記事をアップした翌日知人が知らせてくれたんだけど、アルバム「locomotion」の楽曲はアマゾンで現在も配信販売されているみたい。そうか、知らなかったな。「売ってやらない」と云っておきながらおかしな話。同レーベルからリリースした「blind moon」も配信販売されているけどもう7年以上売り上げ報告は無い。問い合わせたところで「報告するような売り上げはなかった」と云うのだろうから問い合わせる気はない。こうやって書いているのはなんでここまでコケにされなきゃならないのか?って愚痴を書いているだけで、別に「問題がある」とか「問題をなんとかしたい」と思って書いているわけじゃないんだよね。ただこのレーベルから配信されているsakanaの楽曲は買ってほしくないな。興味を持ってくれた人には本当に残念だけれど。