2019年4月30日火曜日

区切られた風景


間もなく平成が終わる。とくに気に留めていなかったけど、今頃になって妙な感慨がある。元号に意味があるとは思わないけれど、区切られる事で一定の期間を意識するのは正月に似ている。正月も意味があるとは思わないけど自分のようにだらしなくなりがちな人間には区切りがあると気持ちを入れるのに少し役立っている(気がする)。

区切りからしばらく経って区切られた時間を離れて見られるようになると、僕らが生まれ育った時代を「昭和っぽい」と呼ぶように、平成が枠に入れられて、彩りと湿度を伴った「時代」として意識されるようになるんだろう。「平成っぽい」とはどんな風景だろうと想像するのは楽しい。この楽しさは政治、経済、風俗、流行などを基準にして考えるのではなくて、もっと個人的なボンヤリしたものだけれども。

sakanaの結成は1983年、ポコペンさんと出会って1stアルバムを録音したのは1987年だからまだ昭和だったけど、2ndアルバム「マッチを擦る」を録音したのが1989年(平成元年)でその頃から月に3~4回のライブをコンスタントに行うようになり次々に曲を作るようにもなって、ようやく活動が軌道に乗り始めた。だから一定のペースで活動を続けた期間はほぼ平成全体と云える。楽しい事もムカつく事も、充実した事も虚しかった事も、嬉しい事も悲しい事もあった。当たり前。

後ろなんて振り返らないぜっていう人は前だけ見てたくさん忘れものをすればいい。僕は若い頃から度々過去を振り返る。そして途方に暮れたり気を取り直したりする。平成がどんな時代だったのかなんてまだ見当がつかないけど、折に触れて度々想い返すのは間違いない。