Disney+で先月公開になったBeatlesの「Get Back」を観た。アルバムと映画「Let It Be」は自分にとって特に思い出深いものなので、逆に観なくてもいいかな、とも思いつつ、でも観ておきたかった。
結論から云えば、観なくてもよかった。8時間強の映像の中で自分にとって興味深かったのはせいぜい10分程度。あとは中学生の頃に映画「Let It Be」を観て感じた事とあまり違いはなかった。「Get Back」予告編映像が、まるで今までの「Let It Be」に対する印象を覆すかの様に巧妙に編集されていたのに自分もまんまとハマったのだけども、違うのは映像と音響が調整されて近年の映像作品の様にクリアになってる事くらい。
「ジョージが一時脱退していた」と云うのが新事実の様に云われていて、その通りなのかも知れないけど「Let It Be」を観ればジョージの不満は明らかだし、ポール以外のメンバーはもうBeatlesへの熱意を失いつつあって、逆にポールだけは素晴らしい楽曲を次々に提案してなんとかバンドを引っ張ろうとするけど空回りしているのも分かる。ジョンは案外誰に対しても冷淡で、ジョージの脱退に対して戻る様に説得しに行こうと気を揉むのはむしろポールの方。
自分の勝手な印象ではジョンはとても臆病で繊細、であるが故のあの物腰なんだと思う。対してポールは無防備で無邪気さ(無神経とも云えるかも知れないけど)を感じる。そつの無い言動も含めて。ジョージは案外図太く逞しい。ジョンとポールと云う最強楽曲チームに独りで立ち向かって自分のソングライティングを達成した人だからかも知れない。リンゴが誰に対しても鷹揚に見えるのはソングライターとしてのエゴがないからだと思う。
そんな崩壊寸前のBeatlesがラストでルーフトップコンサートを強行して一瞬だけロックンロールバンドとしての輝きを放つ流れも映画「Let It Be」と同じだったので、なんで8時間もかけてこれを観なきゃならなかったんだろう?と思った。まあでも気が済んだからいいか。、、あと8時間と云う過酷な長さを観たからこそ、この時のBeatlesが煮詰まった状態のまま何処へ向かって何を目指せばよいのかも分からず音楽を作らなくてならないと云う酷い状況に置かれていながらも、あれほどの音楽(演奏)を残したバンドとしての底力の凄さを感じさせられた気もする。
興味深かった部分はポールがベースをかき鳴らしながら鼻歌でテキトーな思い付きを歌うシーン。それはやがてGet Backの印象的なメロディの骨格に変わって行く。このシーンだけは本当に曲の原型が発生する瞬間を捉えていて前のめりに見入ってしまった。そして後に印象的なドラムのビートにアレンジされるビート感はこの時既にポールがベースで表現しているので、この曲はこのビートから生まれたのが分かる。(他にも骨格となるメロディとコードだけ作って来て、こんな曲だけど、と他のメンバーに披露されるシーンはたくさんあったけどこのシーンみたいなのは他にはなかった。あとこのシーンで面白かったのは、ポールが目の前でGet Backを生み出すのをジョージはギターを抱えながら目の前で見ているんだけど、「こんな思い付きにいつまで付き合わせるんだよ?」と云いたげにあくびをしていた)
話は変わって、相変わらず2日に分けて時々映画を観ている。 たまにこの親子や親族はホントに血が繋がってるんじゃないか?と思う程違和感なく似ている人が演じている映画がある。逆にあり得ないだろう?と突っ込みたくなる程似てない親子の作品もある。別にどっちが良いとか悪いじゃないけど、違和感なく見えるくらい似ている配役にはきっとかなりの苦心があると思うし、演じる方もふとした表情や眼差しにまで親子らしさを滲ませたりしていて、凄いなと見入ってしまう。先日はとても地味だけどそう云うところに並々ならぬ拘りを感じたフランス映画を観てとても良かった。こう云う地味〜なフランス映画には非常に個人的なストーリーでありながら社会的な問題提起もされている作品が多いなと思う。
余談、毎日を絵を描いているとたまに(年に1~2枚程度)、ひとつひとつの作業がやけにスムーズに進んで思いがけず早く完成する絵がある。せいぜい1日早まる程度だけど。逆にいちいち作業が難航して修正と再挑戦を繰り返しながら普段より2~3日余計に時間がかかる作品もある。でも出来栄えには何も差異はなくて、時間が経てば忘れてしまう様な事。
余談2、自分はこの数年、1日に食べるものの量が殆ど変わっていないと思うのに先月辺りから妙に体重が増え始めて何故だろう?と考える。せいぜい2~3kg増なんだけど、体力がない所為なのか身体が重く感じてしまうので元に戻したい。しばし考えて当たり前の事に思い当たる。量は変わっていなくても食べる時間帯が変わっていた。このところ書いていたように最近寝る前の1時間くらいの間に映画を観るのが習慣になってしまい、以前は食後すぐに食べていた甘いもの等を、後で映画観ながら食おうとか思って後回しにしていた。寝る前に甘い菓子パンなど食っていればそりゃ太りそうだと気付いて、菓子類は食後すぐに食べて、寝る前は何も食べたりせずぼんやり映画を観るようになったら数日で元に戻った。