とある音楽家のCDアルバムのジャケットに「月」をテーマにした風景画をとの指定で大きい絵を描いた。CDジャケットのサイズに対して1メートル超えの作品を描く事は自分にとってはとても珍しい。大抵はジャケットサイズより少し大きめと考えてA4サイズに納まるくらいのイラストを描くのだけど、今回の依頼は昨年末の個展で大きな作品を観て心に留めてくださった経緯なので、個展に展示していた感じの風景画を求められた次第。と云うわけで、年末に展示した灯台をモチーフにした作品の天地左右の比率と全体の構図を変更しつつ、空に大きな月を配置した絵を描いた。「月」がテーマだったけれど暗くならないようにとの指示だったので、夜空ではなく昼間の空に薄っすらとおぼろげに浮かぶ月をイメージした。人物はなく灯台や家屋にも人の気配はない。ひたすら静かな画面を求めて描いた。アルバムの繊細な美しい音楽の響きを邪魔しないように。