2020年6月21日日曜日

Both Sides Now

梅雨入り後、涼しい日が続いている。相変わらず絵を描いたりギターの練習したりの毎日。絵を描く時に音楽を聴くか?と訊かれる事があるけど、あまり聴かない。外を歩く子供の声や鳥の鳴き声を聴いている方が絵を描くには丁度いい。でもたまに聴く事もある。今日は久しぶりに若い頃のジョニ・ミッチェルを聴いていた。一番好きなアルバムは「ミンガス」だけど、もっと以前のアルバム。

「Both Sides Now」と云う曲がある。音楽好きなら誰でも聴いた覚えがあるはずの印象的なメロディと内省的な歌詞で知られる名曲。若い頃のジョニ・ミッチェルのギターと歌唱を聴いていると、まさしく天才とはこう云うものか!と感じる眩しい輝きに満ちている。「私は人生を裏表から眺められるようになったが人生なんてさっぱり判らない、、」と云うリフレインに対して当時は「二十歳そこそこの貴女が人生の何を知っているのか?」とずいぶん批判を受けたそうだけど、なんとも見当外れな話だ。

この歌には未経験(未体験)の中にしか存在しない聡明さ、みたいなものが息衝いている。ボブ・ディランの2nd、3rdアルバムにも感じるのと同質のもの。並外れた想像力、観察力と洞察力が達成した見事な表現。経験していないからこそ、これほどの鋭敏さ、深遠さで語れるのだと思う。

僕は若い頃、そう云う作品が好きだったけど、40歳を過ぎてからあまり聴きたいとは思わなくなった。ボブ・ディランやジョニ・ミッチェルを聴くなら近年の歌の方が格段に好きだ。若い頃のような容赦ない鋭さは感じないけれど、額に深く刻まれた経験のような歌唱は何倍も暖かく儚い。

それにしても「Both Sides Now」が世界中のどれだけの人のソングライティングに影響を与えたんだろう?って思うと、たぶん気が遠くなるくらいたくさん居るんだろうな。

話は変わって、最近の中高生がなりたいものの上位にユーチューバーがあると云う何かの記事を読んで、へぇ〜と思う。自分の好きな事を極められれば、それを世に問う窓口がとても身近にあるとも云えるよね。

今はネットで周りの水準?みたいなものが手軽に一望出来るので、どんなジャンルであれ、他人の関心を集めて収益を得るにはどのくらいの事をしなくてはいけないか?を誰もが解っていて、だからYouTubeを観ていると、ビックリするくらいギターの上手い若者はゴロゴロ居るし、絵も同じで、写真やデジタルのバーチャル画像と見分けがつかないようなイラストを手で描いてしまう若者がtwitterやインスタにたくさん居る。更に、そうしたスキルを元手に動画を撮って広告収益を得る程のアクセス数を達成するのはたぶん途方もないハードルで、自己プロデュース能力が問われると思う。例えば高度なギター演奏技術を身に付けて、それを元手にギター教室動画を作る。教え方を通して理解し易さや実用性を基本に人柄や容姿までもが人気を得る要素になるから、無数にある教則動画は皆んな念入りに準備されているのが分かる。そうやって「なんでも自分でやってみよう」って方法でありつつ、独り善がりにならない自己認識を持てるのは最近の若者の特徴だと思う、誰でもではないかも知れないけど。

とは云え、音楽や絵や、好きな事諸々をやりたい動機は他者にどう思われるかだけではなく、自分にとっての必然と云う側面ももちろんあるわけだけれど。でも近頃は「ユーチューバー」になるのが目的で音楽や絵を始める若者ももしかしたら居るのかも知れないね。料理や暮らし方提案みたいのとか、好きな事を利用して動画作成と云う順序が当たり前に思うけど、逆もあるのかも知れない。面白いな。

また話は変わって、6月22日(月)〜6月28日(日)、銀座の月光荘-画室2でイラスト展をさせてもらいます。ゆったりした空間で観て頂けると思います。よかったらいらしてください。

*SNSでお知らせした営業時間が若干間違っていました。以下が正しい時間帯です。すみません。よろしくお願いします。

西脇一弘 イラスト展 2020
東京都中央区銀座8-7-18 月光荘ビル
1F:月光荘 画室2(11:00~19:00) 03-3572-5605
http://gekkoso.jp/gashitsu2.html
5F:月のはなれ(平日11:00~22:00/土日12:00~21:00)
http://tsuki-hanare.com































My love isn't left from your side.
However I go everywhere freely.

私の愛情はあなたの側から離れない。
たとえ私が自由に何処へ行ったとしても。

























The rain which falls locally.
Do you exist there?

局地的に降る雨。
あなたはそこに居ますか?





















「Both Sides Now」の歌詞をイラスト化したもの。




2020年6月7日日曜日

初夏

6月に入って蒸し暑い日が続いている。万年金欠だけど、いつも以上の困窮が続いているにも関わらず時々出費の必要に迫られる。20年前に一大決心で4万円くらいで購入、愛用してきた掃除機が壊れた。メーカー修理対応はとっくに終了。掃除機は自分にとってかなり重要な生活必需品。絵を描くのに最も邪魔になるのは部屋の埃。乾く前の絵の具に張り付いて絵の仕上がりを左右してしまう。なので1枚仕上がって次へ行く際に必ず念入りに掃除機をかけて拭き掃除をしなくてはならない。

買い替えに際して、今まで使った来たメーカーも考慮したけどやはり高価なので除外。安いものを幾つか検討したけど上記の理由で性能面もおろそかに出来ない。散々悩んだ挙句、近年掃除機界でダントツ人気の*イソン社の最安モデルに決める。最安でも定価は5万近いけどネットオークションでは未開封の謎流通品が半額くらいで売られているので2万円強で購入した。使ってみてビックリの快適な高性能。吸引力は申し分なく排気システムのフィルターも万全で、紙パック式と違い吸引したゴミが視認出来るのもいい。でも見た目は自分的にはあり得ないデザインで、しばし購入を躊躇ったけど。でもあまりに使い易いので気にならなくなった。十分過ぎるほど検討した甲斐があった。家電製品の目覚しい進化を体感した次第。

話は変わって、ようやく世の中が動き始めて画材店で絵具や筆を買えたので嬉しい。自分にとってはスーパーでキャベツを買うのと同じくらい当たり前で大切な事なのだな。先日も書いたけど、絵を描いたり曲を作ったりするのは機嫌よく生きていたいからなんだと思う。絵や音楽じゃなくたってなんだっていいんだけど、誰にでもそう云うものがあったらいいなと思う。そうしたら出来るだけそれに没頭して、誰かを憎んだり差別したり見下したり、騙し取ったり騙し取られたり、崇めたり、、する暇なんか無くせばいい。